2020年の年末調整電子化でできることを確認

こんにちは。

今年ももう10月になりました。

税理士事務所はそろそろ年末調整の準備をはじめる時期です。

毎年どれだけ早く準備しても全て回収できるのは12月になってしまいます。

勤務先から従業員に3枚(翌年分を合わせると4枚)渡されて何ヶ所も書くのは面倒ですよね。書くところが多すぎて欄が小さくなっていますし。

ただ書くだけでなくマイナンバーを調べたり自分で計算する箇所があるのも遅くなる原因かもしれません。

そんな年末調整ですが2020年(令和2年)分でいくつか変更点があります。

①給与所得控除の減 ②基礎控除の増(制限有り) ③所得金額調整控除の新設 ④未婚のひとり親の寡婦(寡夫)控除 ⑤配偶者・扶養控除の合計所得金額の見直し

これらによりまた書類の様式が変わっていますので気を付けてください。

そして、もう1つ大きな変更点は今年から年末調整を電子化できるようになったことです。

これまで紙で提出していた扶養控除申告書や控除証明書などを電子データでメールで提出することができます。

電子化には勤務先・従業員のどちらも準備が必要ですが全て電子化する必要はなく、電子化したものを紙で勤務先に提出することもできます。

今回は年末調整の電子化でできることを確認していきます。

勤務先側で必要な準備

準備事項として次のようなことがあります。

  1. 電子化の実施方法の検討
  2. 従業員へ周知
  3. 給与ソフトの確認
  4. 税務署へ「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」の提出

1.今回の電子化は義務ではなく任意ですので従来通り紙でしても電子化と併用してもいいのです。

したがってどこまで電子化にするかその範囲を検討する必要があります。

たとえば控除証明書はハガキで届いたものをそのまま提出するが、これまで手書きだった申告書は年末調整用ソフトで作成したものをメールで送付してもらう。など

また、今年は紙か電子か従業員が選択できるようにして数年後に電子化できるようにできる人からしてもらう。など、電子化後の手順も検討しておくといいです。

2.方向性が決まったら次に従業員へ周知します。

手書きだったのがパソコンやスマートフォンを使わないとできないので手順を説明する必要があります。

従業員には年末調整ソフトウェアをパソコン等にインストールしたり、控除証明書を電子データで取得するので、一連の方法を周知します。

3.電子化したデータを給与ソフトにそのまま取り込めると非常に楽なので現在使用している給与ソフトの対応状況を確認します。

4.税務署に届出をします。提出した月の翌月末日に自動的に承認されます。

届出をしたからといって全て電子化しないといけないわけではありません。

従業員側で必要な準備

  1. 年末調整申告書作成用ソフトウェアの取得
  2. 控除証明書等のデータの取得

従業員は年調用のソフトをパソコン等にインストールしてこれまで手書きしていたことをこちらに入力します。

入力した申告書をID・パスワード設定の上、メールで勤務先へ送信できますし、紙に印刷することもできます。

控除証明書をデータで取得していれば自動的に年調ソフトの申告書に転記されますが、直接入力することもできます。

控除証明書はマイナンバーカードがあれば一括で取得(マイナポータル連携)できます。ない場合は各保険会社からダウンロードします。

取得した控除証明書の電子データを勤務先へ送信するか紙に印刷することもできます。

控除証明書を印刷するにはe-Taxホームページにある「QRコード付証明書等作成システム」を利用して「QRコード付控除証明書」を作成の上、書面で出力します。

マイナポータル連携の場合インターネット上に自分専用のポストを作る必要があります(民間送達サービス)。ポストの作成には日本郵便のMyPostか、野村総合研究所のe-私書箱を使用します。

電子化の対応状況

控除証明書を一括で取得できるマイナポータル連携ですが全ての証明書が対応しているわけではありません。

現在の対応状況は以下の通りです。

種類 取得できる年
生命保険料控除証明書 令和2年分以降
住宅借入金の年末残高証明書
住宅借入金等特別控除証明書
特定口座年間取引報告書
医療費のお知らせ 令和3年分以降
地震保険料控除証明書 検討中
寄付金の受領証明書
給与の源泉徴収票

ローン控除関係は居住年が平成31年(令和元年)以降でないと対応していないので注意してください。

紙で証明書が届いても年調ソフトに手入力できます。紙の証明書は勤務先へ提出してください。