所得税と住民税で利益の半分以上持って行かれるって本当?超過累進課税について確認

こんにちは。大阪市城東区の税理士泉井です。

所得税は最高45%、住民税は10%、合計すると55%(この他に復興所得税があるのですが今回は省略します)となるので所得の半分以上税金として払う必要があると思われている方がいます。

これは少し間違っていて、住民税は一律10%ですが所得税は課税所得に応じて5%から45%まで段階的に税率が上がっていきます。

課税所得が195万円までは5%、195万円超から330万円までは10%、330万円超から695万円までは20%...と一定の金額までは低い税率が使われます。

これを超過累進課税といい、今回は実際にかかる所得税率は何%ぐらいなのか確認していきます。

所得税率は5%から45%

所得税の税率は課税所得に応じて下の表を使って計算します。

 
令和2年分 課税総所得金額に対する所得税の速算表
課税される所得金額(1,000円未満切捨) 税率 控除額(円)
超(円) 以下(円)
0 1,950,000 5% 0
1,950,000 3,300,000 10% 97,500
3,300,000 6,950,000 20% 427,500
6,950,000 9,000,000 23% 636,000
9,000,000 18,000,000 33% 1,536,000
18,000,000 40,000,000 40% 2,796,000
40,000,000   45% 4,796,000

例えば課税所得が500万円の人の場合、所得税は次のように計算します。

5,000,000円 × 20% - 427,500円 = 572,500円

実際の税率は 57.25万円 ÷ 500万円 = 11.45% となります。

課税所得が330万円超は所得税率20%なのに実際の税率はなんで11.45%なのかというと

全部が20%となるのではなく195万円までは5%、195万円~330万円までは10%、330万円~695万円までは20%となるからで572,500円を税率ごとに分解して計算すると

1,950,000円 × 5% = 97,500円

(3,300,000円 - 1,950,000円) × 10% = 135,000円

(5,000,000円 - 3,300,000円) × 20% = 340,000円

97,500円 + 135,000円 + 340,000円 = 572,500円 となります。

課税所得の500万円全額の20%が所得税になるのではないので注意してくださいね。

*課税所得とは簡単にいうと事業の利益(青色申告特別控除後)から社会保険料や基礎控除などの所得控除額を引いた後の金額です。

住民税は一律10%+均等割

住民税は所得が一定以下の非課税の方を除いて一律10%と均等割約4~5千円になり市町村によって多少異なります。

所得税と住民税で扶養控除や基礎控除など所得控除の金額が違うので課税所得は異なったり、調整控除などがあるのですが、今回は目安として計算するのでそれらは考慮せずに計算します。

課税所得500万円の場合の住民税額は10%の税率と均等割(今回は5千円とする)なので505,000円となります。

所得税と合わせると1,077,500円となり課税所得の約21%となります。

課税所得が5千万円だと所得税・住民税合わせて約45%になる

課税所得が5千万円の場合は実際の税率はどれぐらいになるのでしょうか?計算してみましょう。

まずは所得税から

50,000,000円 × 45% - 4,796,000円 = 17,704,000円 (35.408%)

住民税は

50,000,000円 × 10% + 5,000円 = 5,005,000円 (10.01%)

合計で22,709,000円となり5千万円の約45%となります。

半分以上が所得税・住民税となるのは課税所得が大体1億円ぐらいになります。

個人でするか法人でするか

個人事業にかかる所得税・住民税・事業税(今回は確認しませんでしたが)と法人にかかる法人税・住民税・事業税は税率が違うので法人成りした方が税金が安くなる人もいます。

個人と法人では社会保険も変わってきたり消費税も考慮する必要があるのでしっかりシミュレーションする必要があります。

よければこちらもご参照ください。 → 個人と法人の税金・社会保険料の違い