赤字でも納付が必要!法人住民税の均等割

こんにちは。大阪市城東区の税理士泉井です。

会社が儲かれば支払う税金も増えるのはご存じだと思います。では会社が赤字になれば支払う税金は無いのでしょうか?

実は、赤字でも法人住民税の均等割という税金が発生します。

均等割とは行政サービスを受けるという趣旨からなる税金であるため、赤字であっても課税されます

今回は均等割の計算方法について確認していきます。

均等割が課税される会社は?

均等割は市町村(都道府県)内に事務所等を有する法人に課税されます。

チェーン店など複数の市町村に店舗がある場合は、店舗がある市町村(都道府県)全てに均等割が発生します。

また、東京都の特別区や政令市は区ごとに均等割が発生します。

事務所等とは

事務所等とは,①従業員がいるか(人的要件),②土地や建物・機械などの設備があるか(物的要件),③継続して事業をしているか(事業の継続要件)、この3つの要件を満たしているか確認します。

従業員(人的要件)

  • 従業員には,法人の役員や清算人、短期労働者、派遣社員なども含みます。
  • 事務員等がいなくても規約で代表者や管理人が定められていれば人的要件を満たします。

物的要件

  • 建物や機械等の物的設備は自己所有でなくても含まれます。

事業の継続性

  • 事務所等で行われる事業は,主たる事業に関するものだけでなく,付随的事業も含まれます。
  • 事業の継続性には,年数回など不定期行われる場合(例:研修所)も含まれます。
  • その事業所で収益が発生するかどうかは関係ありません。
事務所等の範囲に含まれないもの
  • 宿泊所,保養所など。
  • 資材置場や車庫等など従業員などが常駐しないもの。

均等割の申告は?

均等割は法人税割(利益に対する税金)と一緒に都道府県税事務所・市町村税事務所へ事業年度終了の日から2か月以内に確定申告します。

事務所等がある都道府県・市町村全てに提出する必要があります。

均等割の計算方法

都道府県の均等割は資本金等の額に応じて、市町村の均等割は資本金等の額と従業員数に応じて決まります。

税額は全国一律ではなく都道府県・市町村によって少し異なるのでホームページなどで確認が必要です。

大阪府と大阪市の均等割の金額は以下の通りです。

 

大阪府の均等割
法人等の区分 均等割(年額)
資本金等の額が1千万円以下である法人など 20,000円
資本金等の額が1千万円を超え1億円以下の法人 75,000円
資本金等の額が1憶円を超え10億円以下の法人 260,000円
資本金等の額が10億円を超え50億円以下の法人 1,080,000円
資本金等の額が50憶円を超える法人 1,600,000円
大阪市の均等割
法人等の区分 従業者の数の合計数 均等割(年額)
資本金等の額が1千万円以下の法人 50人以下 50,000円
50人超 120,000円
資本金等の額が1千万円を超え1億円以下の法人 50人以下 130,000円
50人超 150,000円
資本金等の額が1憶円を超え10億円以下の法人 50人以下 160,000円
50人超 400,000円
資本金等の額が10億円を超え50億円以下の法人 50人以下 410,000円
50人超 1,750,000円
資本金等の額が50憶円を超える法人 50人以下 410,000円
50人超 3,000,000円
※1「資本金等の額」…「法人税申告書の資本金等の額±無償増減資等の額」と「資本金の額+資本準備金の額」のいずれか高い金額をいいます。
※2「従業者の数の合計数」…、区内の従業者の合計数をいいます。

※3「資本金等の額」、「従業者の数の合計数」は、期末時点の数を使用します。

具体例

均等割の具体例です。事業年度は4月1日から3月31日とし、資本金等の額は3千万円と仮定します。

①大阪市内に1ヶ所のみ事業所がある場合(従業員50人以下)

大阪市城東区に本店があり市内や他の都道府県・市町村には事業所等がない場合、均等割の年額は以下になります。

  • 大阪府…75,000円
  • 大阪市…130,000円

②①の場合で5月10日に新規開業した事業年度

事業年度の途中に増減があった場合は月割計算し、1月未満の端数日数は切り捨てます。

  • 大阪府…62,500円(75,000円×10/12)
  • 大阪市…108,300円(130,000円×10/12)

③①の場合で4月10日に廃業(事業所閉鎖)した事業年度

月割計算の結果、0月となる場合は切り上げます(1月で計算)。

  • 大阪府…6,200円(75,000円×1/12)
  • 大阪市…10,800円(130,000円×1/12)

④事業所が複数ある場合

大阪市城東区に本店(従業者50人以下)があり、大阪市中央区に店舗(従業者50人超)がある場合の年間の均等割は以下になります。

  • 大阪府…75,000円
  • 大阪市…280,000円(城東区130,000円、中央区150,000円)

⑤④の場合で事業年度の途中に増減があった場合

中央区の店舗(従業者50人超)を5月10日に新規に開設した場合

  • 大阪府…75,000円
  • 大阪市…255,000円(城東区130,000円、中央区150,000円×10/12)

⑥アルバイトの従業者数について

均等割の区分で使用する従業者数は期末時点のものを使用します。

したがって期中に廃止された事業所の従業者数は0人となり、50人以下に分類します。

アルバイトやパートなどを多く雇っていると50人超えてしまうことがあると思われます。

アルバイトやパートについては、事務所ごとに算定期間の末日を含む直前1月のアルバイト等の総勤務時間数を170で除して得た数値(小数点以下は切り上げます)の合計数とすることもできます。

例 社員2人 アルバイト60人(期末1月のアルバイト60人の総勤務時間3,600時間)
  ・原則 62人(50人超)
  ・特例 社員2人+アルバイト22人(3,600÷170)=24人(50人以下)

事業所に増減があった場合は都道府県・市町村に届出を!

地方税の計算には事業所の把握が必要になります。

事業所を設置・廃止したときは事業所所在の都道府県・市町村に届出が必要ですので忘れずに提出するようにしましょう。