個人事業主でも現金出納帳は作成しないといけない?
こんにちは。大阪市城東区の税理士泉井です。
個人事業者が青色申告特別控除を受けるには、「仕訳帳」と「総勘定元帳」の作成が必要になります。
この2つの他に必要に応じて下記のような補助簿を作成します。
補助簿 「現金出納帳」、「売掛帳」、「買掛帳」、「経費帳」、「固定資産台帳」など
どの業種でも現金を使うことはありそうですが、現金出納帳の作成は必須なのでしょうか。
目次
現金出納帳の作成は必須ではない
現金商売の業種で店舗や事務所に金庫やレジがあれば現金出納帳は必要ですが、プライベート用と事業用の財布が同じ方は”現金出納帳を作らない”という選択肢もあります。
現金出納帳を作ると必ず必要なのが出納帳の残高と実際の現金残高の確認です。
毎回現金を数えるのは結構大変で、しかも確認の結果残高が合わないとその原因を探さないといけません。
現金出納帳がなければ毎回残高を合わせる必要がないのでこういった確認作業がなくなるので経理の負担が軽くなります。
現金出納帳を作るのが大変な理由
現金出納帳を作成していてよくあるのが「現金出納帳」の残高と「金庫や財布の中の現金」残高が合わないことです。
「現金過不足」といった勘定科目があるぐらいなので丁寧に帳簿を付けていても合わないことがよくあります。
ただし、合わないからといってすぐに現金過不足勘定を使うのはダメで記帳漏れなど不一致の原因を探さないといけません。
この不一致の原因はいくつかあります。例えば
- クレジット払いなど現金以外での支払い分の領収書の現金出納帳への記入
- 領収書から転記する際の金額の見間違い
- プライベートな支払いと事業での支払いの混在
- 香典や自動販売機など領収書がない支払いの計上漏れ
- お釣りの取り忘れ、渡し間違いなど
支払いの都度または翌日までに、現金出納帳に記入して出納帳残高と実際残高を確認していれば間違えてもすぐ分かりますが、それでも毎回残高を確認するのは面倒で手間がかかります。
現金取引をした時の仕訳
現金出納帳を作らない場合、勘定科目は事業主勘定を使います。
お金を払ったときは「事業主借」、お金を受け取ったときは「事業主貸」になります。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | |
経費支払時 | 消耗品費 | ×××円 | 事業主借 | ×××円 |
売上代金受領時 | 事業主貸 | ×××円 | 売上 | ×××円 |
事業主勘定は金額がどんどんたまっていきますが特に精算などは必要ありません。
現金出納帳を作らないときの注意
経費の計上もれや入力誤りがないか確認する
現金出納帳は帳簿と現金残高を確認するので残高が合わないときは経費の計上もれや転記ミス・2重計上がないか確認できます。
現金出納帳がないと現金残高の照合ができないので注意しましょう。
領収書やレシートを紛失したり、領収書等が貰えない出費をきちんと記録しておかないと計上もれがでてしまいます。
領収書やレシートが貰えない場合は出金伝票で記録しておくといいです。
外出先で記入できないときは家計簿アプリに金額と内容だけとりあえず記録して帰ってからゆっくり出金伝票に記載できます。
転記ミスや2重計上は経理した領収書等に✓を付けるなどして間違えないように注意するしかありません。
入力処理は1ヶ月もすれば量もたくさんになってしまいますし、内容を忘れてしまうこともあります。
1週間、できれば毎日処理をすれば計上もれなどのミスも少なくなるのであまり溜め込まないようにしましょう。
現金出納帳が必要な場合もある
現金出納帳がなくてもいいのは事業用とプライベートのお金が分かれていない場合です。
店舗等にレジがある場合など現金を管理している場合は、その管理している現金については現金出納帳が必要です。
また、経理担当者など事業主以外の人も現金を使うことがある場合も現金出納帳は必要で毎日残高確認した方がいいです。
現金取引をなるべく減らす
最近、会計ソフトは自動化が進んでいます。
全てではありませんが銀行口座やクレジットカード・電子マネーの取引内容を自動で取り込むことができます。
自動で取り込んでも手作業で入力が必要な項目もありますが、それでも全部手入力するより楽ですし、計上もれや金額の誤入力がありません。
キャッシュレス決済ができるお店も増えているので、使えるお店では現金以外の方法で支払ってはいかがでしょうか。
現金を全く使わないことはできないでしょうが、なるべく減らすことができれば経理処理の負担も減ってくるでしょう。