共働き夫婦が住宅ローンをそれぞれ組むメリットとは?

こんにちは。

結婚や出産、子供の入園や入学などでマイホームの購入を検討する方が多いと聞きます。

「一生に一度の買い物」とも言われていますので色々調べて納得のいく理想の住まいを手に入れたいものです。

今回は共働き家庭の住宅ローン控除について確認していきます。

1.住宅ローン控除を受けるための要件

住宅ローン控除はどんな物件でも受けられるものではなく一定の条件があります。

新築の場合は次の全ての要件が必要になります。

  • 新築・取得の日から6ヶ月以内に入居し、ローン控除の適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
  • 控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下であること。
  • 住宅の床面積(登記簿)が50平方メートル以上で、床面積の2分の1以上が専ら自己の居住の用であること。
  • 返済期間が10年以上の住宅ローンがあること。
  • 居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けないこと。

中古住宅の場合は以上の要件に加えて下記の要件が必要です。

  • ①築20年(マンションなどの耐火建築物の場合には25年)以下。②耐震基準に適合する建物。③購入後に耐震改修工事を行い、一定の耐震基準を満たす。のいずれかひとつを満たしていること。
  • 生計を一にする親族等からの取得でないこと。
  • 贈与による取得でないこと。

2.夫婦がローンを組む場合、4パターンがある

夫婦がローンを組むには1人で組むという選択肢を含めると4つあります。

  1. 夫(妻)一人でローンを組む
  2. 収入を合算して連帯保証型でローンを組む
  3. 収入を合算して連帯債務型でローンを組む
  4. 夫婦でペアローンを組む

1は夫か妻の一方が専業主婦(夫)などで収入がない場合や信用情報に問題などがありローンを組めない場合、夫婦の親からの贈与やこれまでの貯蓄などで資金が準備できている場合、など一人でしかローンを組めない場合や収入合算の必要がなく借入れできる場合になります。

2と3は夫婦の収入を合算してローンを組めるので借入額を増やすことができます。

名前は似ているのですが連帯保証型と連帯債務型では返済義務などに違いがあります。

連帯保証型は借入を行う人が債務者でもう一方が連帯保証人になり、債務者が返済できないときは連帯保証人に返済義務が生じます。住宅ローン控除の適用・団体信用生命保険の加入・ローン分の住宅の所有権は債務者のみとなります。

連帯債務型は一方が主たる債務者、もう一方が連帯債務者になり、主たる債務者と連帯債務者は同等の返済義務を負います。団体信用生命保険は通常主たる債務者のみ加入でき住宅の所有権はそれぞれ持つことができます。住宅ローン控除はその所有権に応じて夫婦で適用できます。

4のペアローンは夫婦それぞれが住宅ローンを組みます。2人が契約をするので契約事務手数料などの諸費用も2人分かかります。住宅ローン控除の適用・団体信用生命保険の加入・住宅の所有権はそれぞれの借入分に応じてあります。注意したいのが団信はそれぞれのローン分で加入するので、仮に夫が亡くなって住宅ローンが団信で相殺されても妻の住宅ローンは残ります。逆に妻が亡くなった場合の夫の住宅ローンも同じです。

3.ペアローンでは夫婦でローン控除できる

連帯債務型もペアローンも夫婦で住宅ローン控除を受けることができるのが大きな特徴です。

住宅ローン控除は年末借入金残高の1%(上限40万円)が所得税から控除できます(認定住宅の場合は上限50万円)。所得税から控除しきれない金額があるときは所得税の課税総所得金額の7%を限度として最大136,500円が住民税から控除できます。

年収500万円の会社員の所得税は約14万円なので住民税の控除額と合わせると約27万円の税金がローン控除で節約できます。

仮に年末のローン残高が3,500万円ですとその1%の35万円がローン控除を使える限度額なのですが、上記の場合だと14万の所得税と住民税から控除できる13万6,500円の合計までしか使えません。35万円との差額の約7万円は何も控除できずに切り捨てとなります。

共働き夫婦がペアローンを組み住宅ローンを夫婦で分けると2人とも住宅ローン控除を受けられるので控除されずに切り捨てられる金額が0になりローン控除を最大限に適用できることがあります。

4.ペアローンのデメリット

ペアローンだと住宅ローン控除を受ける金額は大きくなることが多いのですが一方でデメリットもあります。

  1. 印紙代や手数料などの契約時のコストが2契約分必要
  2. 団体信用生命保険は夫婦それぞれの支払い分のみ適用される
  3. 出産や育児などで仕事をやめた場合、ローン控除をするメリットがない
  4. 離婚すると売却や返済などでトラブルの原因となる

ローン控除は10年間(特例で13年の場合もある)、返済期間は最長35年ありますのでその間に出産して仕事を辞めて収入がなくなった場合は、控除する所得税もありませんのでローン控除の恩恵を受けれなくなりますし、ローンの返済も厳しくなってきます。

ペアローンで購入したお住まいは夫婦共有の財産ですので売却には2人の同意が必要になります。もし将来離婚したら売却するかどちらかが住み続けるかなどでトラブルになる可能性もあります。

また、お互いが連帯保証人になっているケースがほとんどですのでどちらか一方の返済が滞った場合、もう一方に返済義務が発生しますので注意が必要です。

5.住宅ローン控除1年目は確定申告が必要

住宅ローン控除を受ける最初の年は確定申告が必要になりますので夫婦2人で控除を受ける場合は申告書も2人分必要になります。会社員の方は2年目以降は年末調整で受けれますので確定申告は必要ありません。

6.まとめ

ペアローンは夫婦の収入で借り入れできるので一人の場合より借入額を増やせます。しかし2人で返済することを前提としていますので出産・育児で仕事を辞めたりパートになって収入が減ったり、または離婚になったりすると一気にリスクに転じる恐れがあります。

住宅ローンを借りる時はまずゆとりのある返済計画を立てて無理のない借入額にしてもらえればと思います。