出産に関する社会保険・税金の手続き

こんにちは。

昨年妻が出産しました。予定日より1か月程度早い出産で入院期間も1か月弱あったので手続きもいくつかありました。今回は出産前後に必要な手続きについてまとめてみます。

出産育児一時金

 出産育児一時金は、健康保険組合から1児につき42万円支給されます。

 支給方法は健康保険組合が医療機関に直接支払い退院時に差額だけを病院窓口に支払う「直接支払制度」を導入している医療機関が多いです。この場合通院または入院時に医療機関から渡された書類に記載して医療機関に提出します。

 出産費用が42万円を下回れば健康保険組合に申請することにより差額は支給されます。

入院が長引くことが無ければこの一時金で足りるのではないでしょうか。

私の妻は切迫早産で1ヶ月近く入院していたので20万円弱支払がありました。

限度額認定証・高額療養費

 通常、出産には健康保険は適用されませんが帝王切開や切迫早産など健康保険が適用されるものもあり、入院期間も長くなることがあるのでそのような場合は健康保険組合に申請して限度額認定証の準備をしましょう。

 限度額認定証を医療機関に提示すれば同一月の医療費が限度額までになります。医療費の支払時までに限度額認定証が間に合わない場合は一度支払ってから後日健康保険組合に高額療養費の請求をしますと限度額を超えて支払った分は戻ってきますが、申請から3~4か月程度時間がかかります。

 限度額認定証は同じ月に同じ医療機関での支払いが限度額までとなり、同じ医療機関でも入院分と外来分は合算して計算できません。

 同じ月に転院など複数の医療機関で限度額認定証を使用した場合は高額療養費の請求で限度額を超えた金額を返金できます。

私の妻は1ヶ月の間に2ヶ所の病院で入院していましたので後日高額療養費の申請をしました。申請を出してから約3か月後に健康保険組合から入金がありました。

出生届、子供の保険証の発行

 出産後、医師等から出生証明書を受け取ったら出生届の提出と子供の健康保険証の発行が必要です。出生届の提出後個人番号の通知が、健康保険の手続き後保険証が1週間程度でそれぞれ送られてきます。

児童手当、こども医療証の申請

 出生届を提出したらそのまま役所で児童手当とこども医療証の申請をしましょう。

児童手当の申請には請求者(父母の内所得が多い方)の健康保険証と振込先の通帳、印鑑、夫婦のマイナンバーが確認できるものが必要です。

こども医療証には印鑑、夫婦のマイナンバーが確認できるもの、子供の健康保険証が必要です。健康保険証はまだ発行されていないので発効後提出する必要があります。

大阪市の場合こども医療証があると1つの病院での1日当たりの負担額が最大500円まで1月での最大が1,000円の負担で済みます(保険診療に限る)。

退院時には子供の入院費用を一旦全額支払う

出産してから退院するまで産まれた子供にも入院費用や食事負担金がかかります。

退院時には保険証もこども医療証もできていないので一度全額支払います。

20万円近く支払いましたが保険証とこども医療証を後日持っていくと精算してくれます。実質負担したのは約1万円でした。

内訳は保険診療の1,000円と保険外の食事約8,000円でした。

出産手当金

 出産手当金は出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合に出産の日以前42日から出産の翌日以後56日までの範囲内で、健康保険組合から支給されます。

1日あたりの支給金額は過去12か月間の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3です。

 これは会社を休んで給与がでない労働者に適用されるので自営業・役員の方は受けることができません。

育児休業給付金

 育児休業給付金は雇用保険に加入している一般の被保険者が1歳未満のこのために育児休業をとった時に支払われる雇用保険からの給付金です。

 支給期間は原則として、女性の場合は産後休業(56日間)明けの日から1歳の誕生日の前々日まで、男性の場合は出産日以降から1歳の誕生日の前々日までとなります。

 1月あたりの支給金額は休業前6か月の給与の総支給額(賞与を除く)÷180日×67%(6ヶ月経過後は50%)です。

 こちらも雇用保険に加入している方に適用されるので自営業・役員の方には支給されません。

社会保険・住民税の支払い

 出産手当金・育児休業給付金の支給を受けている間は健康保険・厚生年金保険の支払いは免除されます。

 自営業者など、国民年金に加入している方が出産された場合は出産日の前月から4か月間、国民年金保険料が免除されます。

 住民税は前年の所得に基づいて課税されていますので育児休業中でも支払う必要があります。

 給料から住民税が控除されている方は休業中の住民税の支払方法を会社の方と相談しましょう。

医療保険の請求

 正常分娩の場合は医療保険の給付の対象にはなりませんが帝王切開などは給付の対象になるかもしれませんので医療保険に加入している場合は確認しておきましょう。

 医療保険の対象になるか見分ける基準は健康保険が適用されるかなので、限度額認定証や高額療養費の手続きをした場合は医療保険も請求できるかもしれません。加入している医療保険会社に確認してみましょう。

医療費控除

 1年間に支払った医療費の額が10万円を超えると、その超えた金額が支払った人の所得から控除できます。

通常の出産は医療費控除の対象にはなりませんが切迫早産などで治療が必要なものについては対象になるものがあります。

 出産育児一時金や高額療養費等があるので出産だけで医療費控除を受けれる方は少ないと思いますが、出産以外にも医療費が多くかかった場合は医療費控除を受けれる場合がありますので、所得税の確定申告で税金が安くなるようにしましょう。

所得税・住民税

会社員の方で出産後、育児休業を取ったり出産を機に退職する場合は出産後の所得がない(育児休業給付金や出産手当金は非課税)のでその年の年末調整や翌年3月の確定申告で出産前までの源泉所得税の一部が還付できるので忘れないようにしましょう。

住民税で出産した年の収入が反映されるのは翌年度(給料から天引きされている人は毎年6月に改訂)になります。住民税の手続きは年末調整や確定申告をしていれば必要ありません。