退職時に自分でしないといけない社会保険・税金の手続き

こんにちは。

今年事務所を辞めるので退職時の手続きについてまとめてみます。

税理士事務所には所得税の確定申告や顧問先法人の決算、年末調整など繁忙期があり退職時期については所長とよく相談して決めると思います。

転職先が決まっているときは1~2ヶ月後に退職するのでしょうが後任の採用や引き継ぎのため辞意はなるべく早めに伝えた方がよいと思います。

転職せず開業するときは、事務所から退職を引き留められることもありますし辞める時期も繁忙期を過ぎてからにして欲しいと言われることもあるので辞めるまで4ヶ月~半年かかることもあります。

退職届を出してから最終出社日までは引き継ぎがあったり、もしかすると他の職員に仕事を振って自分の仕事が少なくなったり、精神的にも負担になるので辞意を伝えてから職場にいる期間はあまり長くない方がいいのではないでしょうか。

退職してからの手続きにはどういったものがあるのか確認していきます。

健康保険の手続き

前職の保険証は退職日の次の日から使えませんし、保険証は職場に返しますので別の健康保険に加入しないといけません。次の職場等で期間をあけずに健康保険に加入する場合以外は次のいずれかの手続きが必要です。

任意継続

前職で健保協会に加入していたときは、資格喪失日から20日以内に申請すると2年間、健保協会の健康保険に加入できます。

しかし、国民健康保険に入る、または健康保険の被扶養者になるという理由では任意継続をやめることはできませんので注意が必要です。

また、保険料は給与から控除されていた金額のおよそ2倍になるので気を付けてください。

任意継続する場合は市町村で国民年金の手続きも必要になります。

任意継続保険料の計算では標準報酬月額は30万円が限度なので、任意継続すると毎月の健康保険料は大阪府の健保協会の場合、30,660円になります。

これプラス、国民年金が月16,540円(令和2年度)必要になります。

税理士会の保険に加入する

私は加入したことないのですが、税理士国保というものがありますので開業する場合はこちらに加入することができます。保険料は収入にかかわらず定額なのですが被扶養者にも保険料がかかるみたいです。

こちらも国民年金の手続きは別途必要になります。

家族の扶養に入る

退職後しばらくは収入がないなど収入基準を満たす場合は家族の方が加入している健康保険の被扶養者として加入できる場合があります。

失業保険は収入に含まれるので、退職後失業保険の給付を受ける時は健康保険の扶養に入れない可能性が高いです。ただし給付制限中は収入がないので扶養に入ることができます。

その場合は、①給付制限中は家族の扶養に入り、失業保険の受給が始まってから国民健康保険に加入する。②退職直後から任意継続に加入する。のいずれかになります。

配偶者の被扶養者になるときは国民年金の第3号被保険者になるので市町村での国民年金の加入は不要です。配偶者以外の方の扶養に入るときは国民年金の手続きが必要です。

国民健康保険に入る

上記のどれにもならない方は国民健康保険に加入します。

国民健康保険は市役所の担当課で手続きします。この時に国民年金の加入手続きも一緒にしましょう。

保険料は前年の所得に基づいて計算します。

年収500万円だと1か月あたり約35,000円の健康保険料が発生します。各市町村の担当課に連絡すると本人の保険料を教えてくれます。

国民年金は月16,540円ですので合計51,000円程度必要となります。

雇用保険

退職後、雇用保険の離職票が前職かハローワークのどちらかから届きます。次の職場が決まっていれば雇用保険番号が引き継げるので職場の担当者に伝えて手続きしてもらいましょう。

次の職場がまだ決まっていない方は離職票を持って管轄のハローワークに失業認定を受けることができます。

自己都合退職の場合、失業保険は3ヶ月と7日経過してからでないと支給されません。その間は収入が無いのである程度貯金しておかないと生活できません。

退職してから転職活動や起業する方は要件を満たせば再就職手当金を受給できることがあるので支給要件をよく確認しておきましょう。

再就職手当金は再就職以外にも要件を満たせば事業を開始した場合でも支給されるのでハローワークで相談した方が良いと思われます。

この手当金は最大で失業保険の残日数の70%を再就職時に貰えます。転職活動等が長引かずに早く決まるとお給料も入るし手当金も入るので失業保険を最後まで受給するよりいいので退職時に転職先が決まっていない方は再就職手当金が貰えるか確認するようにしましょう。

住民税

前職で住民税が控除されている方は退職後5月までの住民税について退職時に給与から一括で控除するか普通徴収にするかのどちらかになります。

普通徴収にして転職した場合、納期限にもよりますが転職後の給与から特別徴収できる場合があります。

住民税は前年の収入等から計算されますので退職して収入が減少しても現在払っている(給料から引かれている)住民税は減りません。

一方、給料から引かれる所得税は前払いなので退職で収入が減少するとその年の年末調整または翌年3月の確定申告で精算(還付できる場合が多い)できます。

退職金

退職金があるときは退職所得の受給に関する申告書を職場等に提出します。

前職で中小企業退職金共済に加入していた場合は忘れずに退職金の手続きをしましょう。振込先に使う銀行窓口で口座の確認印を貰うが必要があります。

書類を中退共共済事業本部に郵送すると2か月弱で退職金が振り込まれます。

倒産や解雇の場合は軽減・減免できるか相談してみては

会社の倒産や解雇で退職したときは健康保険料や年金、住民税の金額を下げてくれるかもしれませんので役所などに相談してみて下さい。

自発的な退職では減免などはできませんので退職前に必要な金額を確認して払えないなんてことがないようにしましょう。

その他

その他には源泉徴収票を次の職場に提出するか、翌年に自分で確定申告をします。

iDeCoに加入している方も手続きが必要です。

あと、税理士の方は税理士会へ登録内容の変更が必要です。支部の手続きは特に必要ありません。緊急事態宣言の影響で税理士会の窓口業務がストップしていて当分の間は郵送での手続きになりそうです。

税理士会の支部が変わる場合は、支部会費の精算と新しく入る支部の会費の振込をします。

役所や銀行は窓口業務はしていますが現在は混雑していますので手続きに行く前に必要書類を確認して再提出等の二度手間にならないように気をつけましょうね。