消費税は課税、免税、非課税、不課税の区分をしよう
こんにちは。大阪市城東区の税理士泉井です。
会計ソフトには消費税区分を入力する項目があります。
課税売上・課税対応仕入・輸出売上・有価証券譲渡・税率など数十種類あります。全部使う必要はなく基本的には課税・免税・非課税・不課税(対象外)の4つに分類し、消費税率(10%・8%・軽減8%)を分ければ問題ありません。
今回はこの4つの区分について確認していきます。
目次
消費税の課税対象となる4つの要件
消費税の課税の対象となるのは次の4つの要件すべてを満たす取引となります。
- 国内取引であること
- 事業者が事業として行うものであること
- 対価を得て行われるものであること
- 資産の譲渡・貸付け・役務(サービス)の提供であること
この要件をすべて満たすと課税・免税・非課税のいずれかになり、満たさない場合は不課税(対象外)となります。
課税の対象となる要件について1つずつ確認していきましょう。
①国内取引であること
日本国内で行われた取引が対象となります。外国での取引は日本の消費税はかかりません。
資産の譲渡・貸付けの場合…譲渡・貸付けの時に資産が所在していた場所で判定します。
※輸出として行う資産の譲渡は、資産の譲渡を行う瞬間には資産が国内にあり、相手への引き渡しのために国外に運び出す取引であるので国内取引となります。
役務(サービス)の提供の場合…その役務の提供が行われた場所で判定します。
②事業者が事業として行うものであること
事業者とは法人と個人事業者のことです。法人が行う行為はすべて「事業として」に該当します。
個人事業者はその行為が反復、継続、独立して行われることをいい、事業付随行為も含みます。
例えば個人事業者の事業用固定資産の売却は「事業として」に該当しますが、消費者の立場で行う自宅の売却は「事業として」に該当しないので課税の対象となりません。
③対価を得て行われるものであること
「対価を得て」とはその取引に対して反対給付を受けることをいいます。
商品を売るなどしてお金をもらうこと以外にも、物・権利・その他経済的な利益を得た場合も対価を得たこととなります。
そのため、贈与や寄付、補助金などは対価を得て行われる取引に該当しないので課税の対象となりません。
④資産の譲渡・貸付け・役務(サービス)の提供であること
資産の譲渡とは、商品・製品等の販売や建物・ソフトウェア等の固定資産の売却などをいいます。
資産の貸付けは建物の貸付けや施設を使用させる行為などをいいます。
役務(サービス)の提供とは、土木工事、修繕、運送、広告、仲介、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供などをいい、弁護士、公認会計士、税理士、作家、スポーツ選手等によるその専門的知識、技能等に基づく役務の提供も含まれます。
課税・免税・非課税・不課税(対象外)の区分の仕方
消費税区分は①課税の対象になるか②非課税になるか③輸出免税等になるかの順に判定していきます。
課税の対象となる取引のうち非課税と輸出免税等は限定されているのでそれ以外の取引が課税取引となります。
adde8b8cacc8b93e736d8d1a3b1d47b7非課税取引の例
「消費」に税の負担を求める消費税ですが、土地や有価証券の譲渡など「消費」という概念になじまないものや、医療など社会政策上の配慮から消費税を課税しない取引のことを非課税取引といいます。
非課税取引の範囲は下記に限定されています。
消費の概念になじまないもの | 社会政策的配慮に基づくもの |
土地・土地の上に存する権利の譲渡・貸付け | 社会保険医療 |
有価証券(ゴルフ会員権を除く)の譲渡 | 介護サービス・社会福祉事業 |
金融取引(利子・保険料など) | 助産にかかる費用 |
切手・印紙・商品券の譲渡 | 火葬料・埋葬料 |
住民票発行などの行政手数料・国際郵便為替・外国為替 | 身体障がい者用物品の譲渡・貸付け・修理等 |
一定の学校の授業料・検定料・入学金 | |
学校の教科用図書の譲渡 | |
住宅の貸付け |
輸出免税等の例
輸出取引等は消費税が免除されています。これを輸出免税といいます。
免税取引は主に次の2つに区分されます。
- 商品の輸出や国際輸送、国際電話、国際郵便など
- 免税ショップでの外国人旅行者に対する販売
課税取引
上記のフローチャートのように課税の対象となった取引のうち、非課税・輸出免税等に該当しないものが課税取引となります。
消費税区分の判定の際には
①不課税かどうか②非課税かどうか③免税かどうかの順番で分類していきます。
輸入取引など
これまで確認してきたこと以外にも消費税がかかる取引があります。ややこしいので詳細については省略します。
①保税地域から外国貨物(輸入品)を引き取った場合
②国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:広告の配信等)を受けた場合