節税のために浪費してはダメ

こんにちは。大阪市城東区の税理士泉井です。

法人税や所得税は1年間の利益から計算されます。法人の実効税率は約25~35%ぐらいで個人にかかる所得税と住民税の合計税率は15~55%になります。

経費を増やせば利益が減るのでその分支払う税金も減ります。

モノを買って経費を増やせば税金は減りますが、当然お金も減ってしまいます。

「税金として持っていかれるくらいなら使ってしまえ」って思うかもしれませんが不要なモノを買ってまで経費を増やしても手元にお金が残りませんので浪費にならないようにしましょう。

節税の種類

節税には大きく分けて

  1. お金を使わない利益の繰り延べ節税
  2. お金を使う投資型節税
  3. お金を使う消費型節税
  4. 永久的節税

1.お金を使わない利益の繰り延べ節税(未払金・未払費用の計上、短期前払費用の特例、減価償却の特別償却制度など)

 毎月発生する経費(光熱費など)のうち、当期中に発生しているが支払が翌期になるものを未払金・未払費用で計上したり、年払いの費用を支払時に経費処理するものです。

 これは翌期以降の経費を当期に持ってきているだけなのでトータルで考えると経費の合計は同じになります。

しかし、当期の税金は少なくなるので「当面の税金対策」として有効です。

2.お金を使う投資型節税(決算賞与、中小企業退職金共済、設備投資減税、所得拡大促進税制など)

 当期の業績が良かったので従業員に決算賞与を支給したり、設備投資をした場合や従業員給与が増加した場合に税金が控除できる制度を利用するものです。

 これはまとまった資金が必要ですが従業員のモチベーションの向上や会社の成長につながります。

3.お金を使う消費型節税(消耗品や備品の購入など)

 決算時にとにかく経費を増やして利益を減らしたいという理由では余計な支出までしてしまう場合がありますので、本当に必要な支出かどうかよく検討することが必要です。

4.永久的節税(役員報酬改定、青色申告など)

 役員報酬を会社の業績に見合った金額にして所得税と法人税の負担を減らしたり、青色申告をすることで税制上の特典を利用します。

他にも旅費規程や交際費の見直しによる節税があります。

法人化による節税

所得税は累進課税なので税率は所得に応じて変わってきます。

5%から段階的に上がっていき最大45%になります。

住民税の税率は一律10%なので所得税と合わせると最大55%となります。

法人にかかる税率は30%前後なので個人事業者で所得税率が高くなってくると法人化した方が税金が安くなってきます。

法人化するタイミングは税金以外にも社会保険や登記などが関わってくるので個別にシミュレーションする必要があります。

無申告や税金の未納はなにも得しない

決算書上は利益がでているのに売上代金の回収が遅れたりで「税金を払うお金がない」や、「事業が軌道に乗ってから申告しよう」といった理由で確定申告しなかったり税金を払っていない人がいるようです。

しかし、無申告や未納のペナルティはとても厳しいですし、罰金を払うのが一番の無駄です。

利益がでていても資金繰りが厳しいときは銀行からの借入で資金繰りに少し余裕ができるので是非して欲しいのですが、銀行融資を受けるためには「申告書の提出」と「税金の未納がないこと」の2つの条件が必要になります。

税金を払わないとお金は貯まらない

いくら節税をしても税金は0にはなりません(赤字になれば0ですが)。

浪費して経費を増やしても、それにより減る税金以上にお金が出ていってしまいますので、必要以上の節税対策(浪費)にならないように資金繰りや経営状況を見直しましょう。