脱サラして起業の場合、開業前に「再就職手当」の確認をしよう!
こんにちは。大阪市城東区の税理士泉井です。
雇用保険には会社を退職した場合に受ける失業保険(基本手当)がありますが、自己都合退職の場合約3ヶ月経過してからでなければこの基本手当を受けることができません。
失業保険には失業中に受ける基本手当以外にも、基本手当の給付日数を残した状態で再就職した場合に受けれる「再就職手当」というものがあります。
この再就職手当は離職日から約1ヶ月経過後に受けれる場合があり、要件を満たせば就職ではなく起業でも受けることができるので離職後すぐに就職又は起業しない場合は受給できるか確認してみましょう。
今回は起業した場合の再就職手当について確認していきます。
目次
再就職手当とは
再就職手当とは支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であり、安定した職業に就いた場合で一定の要件を満たしている場合に支給される就業促進手当のことです。
この再就職手当金は就職だけでなく独立・開業で事業を開始した場合でも要件を満たせば受けることができます。
支給要件
事業を開始する場合の要件は次のようになります。
- 待機(離職後ハローワークで求職申込をしてから7日間)が終わってから自営の準備をしたこと。
- 給付制限(3ヶ月)のある方(自己都合退職の方)は、待機満了後1ヶ月を経過した後から、自営の準備を開始したこと。
- 1年を超えて事業を安定的に継続して行うことができる、自立したものと認められること。
- 事業を開始した日前3年以内の就職により「再就職手当」・「常用就職支度手当」を受けたことがないこと
待機期間は離職日からではなくハローワークに離職票を提出した日から7日間なので、退職前に離職票がいつ頃受け取れるか確認してなるべく早く手続きしてもらえるようにしましょう。
再就職手当の申請をするまでは自営の準備をしてはいけませんので注意が必要です。離職票の離職理由に独立や開業のため離職と書いていてもダメです。
退職後は求職中であることをハローワークに伝え求職活動をすることが必要です。
再就職手当の金額
再就職手当の額は基本手当日額と支給残日数と支給率によって決まります。
支給残日数が3分の2以上残っているかどうかで支給率が変わります。
再就職手当 = 基本手当日額(上限有) × 所定給付日数の支給残日数 × 支給率(60%又は70%)
基本手当の日額は60歳未満の場合、離職前6ヶ月間の賃金を180で割った額の5~8割となります。
基本手当日額の上限 60歳未満…上限6,165円 60歳以上65歳未満…4,990円
自己都合退職の場合、所定給付日数は被保険者であった期間によります。(10年未満…90日、10年以上20年未満…120日、20年以上…150日)
会社都合退職の場合は年齢や被保険者期間により90日~330日となります。
支給率 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合…70% 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上3分の2未満の場合…60%
手続きの流れ
①求職の申込み
退職後、前職から離職票を受け取ったら管轄のハローワークへ求職の申込みに行きます。
必要な書類は次の通りです。
- 離職票ー1
- 離職票ー2
- 写真2枚(次回以降でもいい)
- 本人名義の預金通帳(その口座に再就職手当が振り込まれます)
- マイナンバーカードや免許証などの本人確認書類
- マイナンバー確認書類(マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、個人番号が記載された住民票等)
- 認印
求職の申込みが終わり受給資格が決定すると次にハローワークに行く日を伝えられます。
②雇用保険説明会・初回講習
通常なら雇用保険の説明会と初回講習があるのですが現在はコロナウィルス感染症予防のため中止されています。
③最初の失業認定日
求職の申込から4週間後が最初の失業認定日となりますので認定日にハローワークへ行き求職活動などを報告します。以後原則として4週間ごとに認定日があります。
失業認定日までに2回以上求職活動をする必要があります。求職活動にはハローワークでの職業相談も含まれます。
④再就職手当の申請
最初の失業認定日から1週間後ぐらいが自己都合退職の場合に再就職手当が受けられる「待機7日間+1ヶ月」になりますので、ハローワークへ行き再就職手当の相談に行きます。
そこで「再就職支給申請書」とその他必要書類を受け取ります。
税務署へ開業届を提出する前に必ずハローワークへ行き再就職手当の相談をして受給できるか確認してください。支給額の目安も教えてもらえます。
⑤税務署へ「開業届」の提出
税務署へ開業届を提出します。提出用と控え用を持っていき控え用には受付印をもらって持って帰ります。
⑥ハローワークへ再就職手当支給申請書の提出
必要書類は次の通りです。
- 再就職手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 開業届
- 事業の継続が確認できる書類(不要な場合もあります。)
事業の継続が確認できる書類は、賃貸借契約書・仕入や備品の発注書や見積書などですが、業種やハローワークによって違うようで④の時に具体的な書類を指示されます。
開業届や賃貸借契約書などの日付が「待機7日間+1ヶ月」が経過する前になっていると独立準備をしていたことになるので再就職手当が受給できなくなります。
これらの書類はハローワークへ直接持っていくか簡易書留で郵送することもできます。
書類到着後1週間から1ヶ月で再就職手当が支給されハローワークから決定通知書が送付されてきます。
まとめ
再就職手当は再就職する意思があり積極的に求職活動を行う必要がありますので、ハローワークの説明会や講習がある場合は必ず行くようにしましょう。
受けとれる金額も数十万円になり開業後の事業資金の一部になりますので、離職後すぐに開業する必要がない場合は自分が受給できるか確認してはいかがでしょうか。