消費税の納税見込は常に把握しておこう!
こんにちは。大阪市城東区の税理士、泉井健児です。
消費税は売上計上時に発生する預り消費税と仕入や経費の計上時に発生する支払い消費税の差額を申告して納税します。
所得税や法人税の場合、赤字で課税所得がないと税金は発生しません。しかし、所得税・法人税が無かった年でも消費税の納税は発生するケースはよくあります。
消費税の納税額は事業の利益とは連動しないのと、所得税・法人税より納付額が高くなるケースが多いので試算表などで決算時以外でも確認するようにしましょう。
消費税の計算方法
消費税の計算方法は簡単に説明すると、売上にかかる消費税額から仕入・経費にかかる消費税額を控除した金額になります。
納付額 = 売上にかかる消費税額(課税期間の課税売上高×10%又は8%) - 仕入等にかかる消費税額(課税期間の課税仕入高×10%又は8%)
上記とは別に一定規模以下の事業者については仕入等にかかる消費税額の代わりに売上にかかる消費税額にみなし仕入率をかけて計算する「簡易課税制度」というものがあります。
税抜き経理をしよう
会計処理には「税込経理」と「税抜経理」があります。
税込経理は帳簿に計上するときは消費税を含めた金額で計上し、決算時に納付税額を租税公課に計上する処理です。
税抜経理は計上時に本体金額と消費税額を区分します。売上計上時は「仮受消費税」仕入・経費計上時は「仮払消費税」の勘定科目を使います。
どちらで処理しても損益計算書の利益金額は同じになります。しかし、税込経理では期末に消費税額を費用計上するので事業年度の途中では正しい損益は計算しにくくなります。税抜経理では売上・仕入等計上時に消費税額を仮受消費税・仮払消費税に分けて計上しているのでいつでも消費税額の把握が簡単にできますし、損益も税抜きの金額で確認できます。
税抜経理で消費税額を分けて計上するのが大変だと感じるかもしれませんが、会計ソフトを使えば自動で振り分けてくれるので手間はあまりかかりません。
また、10万円未満の資産を購入したときは消耗品で経費処理できるのですが、税込経理の場合は税込みで、税抜経理の場合は税抜きで10万円未満か判定するので税抜経理の方が少し有利になります。
試算表では仮受消費税と仮払消費税の差額でおおよその納付額がわかる
税抜経理では売上時に預かった消費税は「仮受消費税」として貸借対照表の負債の部に、仕入時等に支払った消費税は「仮払消費税」として貸借対照表の資産の部に計上されます。
消費税の確定申告で納付する金額はこの預かった消費税から支払った消費税を引いた金額となり、マイナスになれば税務署から還付されます。例えば、固定資産の購入等で支払った消費税も仮払消費税に含まれるので多額の設備投資があれば消費税の還付となる場合があります。
あくまで概算なので消費税計算の端数処理の関係で実際の納付額とは多少ズレます。また、居住用マンション・アパート等の不動産賃貸業など非課税売上高が多い場合は支払った消費税の全額は控除できませんので注意が必要です。
区分経理はしっかりと
会計ソフトに入力するとき、消費税区分と税率を選択する箇所があります。
区分は大きく分けて課税・非課税・免税・不課税(対象外)の4種類あり、税率は10%と軽減税率の8%(他に経過措置の8%・5%を使用することもあります)があります。
これらがきちんと分類されていないと正確な税額がでないので普段の入力時から区分は意識するようにしましょう。
申告書作成時にも区分や税率はチェックしますが1年分チェックするのと普段からチェックしているのとでは、間違いも見つけやすいですし、仮に間違いが多いと損益にも影響してしまいます。
できれば月に1度、少なくても年に数回は試算表を作成して現状を把握してはいかがでしょうか。