個人事業主はいつから消費税の申告が必要?
こんにちは。大阪市城東区の税理士泉井です。
皆さんが普段のお買い物やサービスの利用などで負担している消費税。商品やサービスは生産者から流通業者、流通業者から販売業者、販売業者から最終消費者へ進み、各段階で消費税が課税されています。
最終消費者が負担した消費税は各段階の事業者が、売上時に預かった消費税から、仕入や経費の支払時に払った消費税を差し引いた差額を集計して申告・納付します。
通常1年間の取引を集計して申告するのですが、売上規模の小さい事業者は、集計・計算の煩雑さを考慮して消費税の申告・納付をする義務が免除されます。
今回は個人事業者の消費税の申告義務について確認していきます。
課税売上高で申告の有無が決まる
個人事業主は消費税の申告・納付をする課税事業者と、申告・納付をしなくてもよい免税事業者に分けられます。
両者の判定の基準は課税売上高(簡単に言うと消費税がかかる売上高のこと)が1千万円を超えているかどうかになります。
これが1千万円を超えると消費税の課税事業者となり、翌年3月31日までに確定申告をしないといけません。
いつの売上げで判定するの?
では、どの期間の課税売上高が1千万円を超えたら確定申告の必要があるのでしょうか。
下記の2つの判定期間があります。
- その年の前々年
- その年の前年の1月から6月まで(課税売上高の代わりに給与支払額の合計で判定することもできます)
この2つのどれか1つでも1千万円を超えるとその年は確定申告が必要になります。
令和2年分の確定申告がいるのか確認するには
①平成30年の年間課税売上高が1千万円を超えていたら令和2年分は翌年3月31日までに確定申告。1千万円以下なら②へ
②平成31年1月から令和元年6月の課税売上高の合計が1千万円を超えていたら令和2年分は翌年3月31日までに確定申告。1千万円以下なら令和2年分は確定申告不要。
※②は課税売上高の代わりに給与支払額で判定してもよいことになっています。
開業初年度は免税事業者になります
個人事業主の開業初年度は2年前の課税売上高がありませんので消費税の申告は免除されます。
しかし相続で事業を引き継いだ場合は被相続人の分も考慮する必要があり、課税事業者となる場合があるので注意してください。
また、開業初年度に設備投資がたくさんあるなど、消費税の申告をすれば還付が発生するケースもあります。事前に税務署に届け出ることで開業初年度から課税事業者に選択することもできるのでそのときは税理士に相談することをお勧めします。
法人成り後2事業年度は免税事業者
個人の方が会社を作って法人成りしたら、個人と法人は別人格になるのでその法人は個人のときの課税売上高を納税義務の判定に使用しません。
したがって法人成りしても設立後2事業年度は消費税の申告はしなくてよいのですが、資本金が1千万円以上やその他一定の場合には設立1期目から申告が必要となることもあります。
法人成りは消費税の節税としても有効となることがありますが、社会保険や法人税なども他にも考慮しないといけませんので、よく検討するようにしましょう。
簡易課税制度を検討しては?
確定申告書の作成には会計ソフトで記帳すると便利です。手書きやエクセルでも帳簿の作成は可能ですが、消費税が絡んでくると会計ソフトを使った方が集計もすぐでき経理にかかる時間も短縮できます。
また、消費税の申告には原則と特例の2つの方法があります。
原則の方法は預かった消費税から支払った消費税を差し引いて計算しますが、特例の方法では売上のみから計算します。
この特例は簡易課税制度といって、適用を受けるには基準期間の課税売上高が5千万円以下で、なおかつこの特例の適用を受ける届出書を提出しないといけません。
原則よりも特例の方が計算が簡単で納税額が少なくなることがあるので是非検討してみてください。